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ユダヤ金融財閥とドイツの後進性

いずれにせよ、18世紀の古銭商マイヤー・アムシェル・ロスチャイルド(ロートシルト)がその「魔性」を巧みに利用して、後の大財閥形成の基礎を築いたことは事実である。それというのも、彼が売ったのは、単に「古銭」ではなく、それぞれのコインにまつわる物語であったからだ。彼は、該博な知識で貨幣の魅力を創造した。このようにして古銭商が売り、収集家が収集したコレクションは、近代的な「貨幣学、古銭学(numismatics)」を支える基礎資料となり、今や経済史や社会史の研究を側面から支えるものとなっている。

 一介の古銭商からロスチャイルド商会を創業したマイヤー・アムシェルは、後に両替商としても成功し、金融財閥への一歩を踏み出した。言うまでもなく、この「両替」も、貨幣制度が混乱した神聖ローマ帝国、分裂ドイツでは無くてはならない業種であった。

 翻ってみると、ロスチャイルド家だけでなく、メンデルスゾーン家、ヴァールブルク家(ウォーバーグ家)など、我々が「ユダヤの金融財閥」として思い浮かべる銀行家の多くは、イギリスやフランスなどの先進国というよりは、神聖ローマ、分裂ドイツなどの経済後進地域の出身である。彼らが、最初から大資本家であったわけでないことは言うまでもなかろう。むしろ、ユダヤ人として主要な産業から締め出された弱者でさえあった。しかし、いずれも、この地域特有の混乱した貨幣制度を逆に利用しながら成長を果たしたのである。

ちなみに、ユダヤ人の両替商の手数料、高利貸の利率は決して高くはなかったといわれている。領主などの「身分の高い借主が踏み倒すリスク」を考慮すれば利率はわずかなものであったが、当時のキリスト教の世界にあっては、わずかな金利も「高利」と呼ばれてしまったのである。

 

 

後進性とどう付き合うか

 さて、以上は遠い異国の、何百年も昔の話であることには違いはない。けれども、現代にも通じる真理が含まれている。

それというのも、政治の歪み、業界の都合などによって制度の改革が遅れ、利用者が不自由を被ることは、いつでも、どこでもあり得ることだからである。特に、どこかの国の「金融」「不動産」事情は、口では「顧客第一主義」を唱えているかも知れないが、今もお寒い限りである。預金の窓口以外の場所で銀行と付き合った経験のある人であればお分かりと思うが、その実情は「消費者無視」と言われても仕方なかろう。

実際、大手銀行などは、営業の重点を融資から投資信託などの手数料稼ぎに移したおかげで「不良債権そのもの」は減ったかも知れないが、顧客である融資先に不当な圧力をかけて金融商品を買わせたりなどしているにもかかわらず、その業績は海外の優良銀行に遠く及ばないのである。

これを「後進性」と呼ばずして何といおう。しかし、小規模・零細なビジネスにとっては、その「遅れ」にこそチャンスがあると言うべきだ。今やインターネットの時代であり、小規模事業者こそ徹底的なコスト削減が可能となっている。そして、ロスチャイルドのように(とまではいかないかも知れないが)、制度の遅れや大手業者の都合で「不自由」「不利益」を被っている利用者の力になるように努めるなら、小規模事業者にも活路が開けるというのが、ロスチャイルド家の起源から学ぶべき教訓であると思われる。

 

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