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ヨーロッパ・コインの迷宮

しかし、この「遅れ」に商機を見出した人たちがいた。

「古銭商」マイヤー・アムシェル・ロスチャイルド(ロートシルト)もその一人である。

「古銭」と言えば「寛永通宝」とか「永楽通宝」など、文字ばかりで肖像のない銭貨しか思い浮かばない一般の日本人にとっては理解しにくいかも知れないが、ヨーロッパの古いコインは、コレクターにとって抗いがたい魅力があるらしい。その一つの理由は、ヨーロッパにおけるコインの多様さ、複雑さ、稀少さにある。なかでも神聖ローマ帝国、分裂ドイツのコインはその代表的なものの一つである。

分裂ドイツの領邦の数は約300であったから、ほとんど隣接する町同士で異なる貨幣を用いていたという感覚に近いだろう。小領主が自らの肖像などを入れたコインを代々造っていたと想像すれば、その貨幣の種類の夥しさ、そしてその一つ一つのもの珍しさは、日本の古銭や古貨幣の比ではないはずである。

 

 

さらに時代を遡れば、古代ギリシアの諸ポリス、ヘレニズム時代の諸王朝、共和政と帝政のローマ、ビザンツ帝国、中世ヨーロッパ、さらにイスラム諸王朝が、それぞれ国家や宗教の象徴や君主の肖像を図案化した金貨・銀貨を鋳造していた。これら無数のコインに刻み付けられたイメージは、過去の歴史、王朝や君主たちの事蹟にまつわる記憶と相俟って、ラテン語ギリシア語の素養、古代中世的な教養を身に付けた当時の富裕なコレクターにとって、いったん足を踏み入れたなら容易には抜け出すことのできないほどの目くるめく知の迷宮を形作っていたのである。この魅力を、中世史家の樺山紘一氏は、著書『西洋学事始』で「魔性」と呼んでいるほどだ。

夥しい種類のコインに日常的に取り巻かれていた分裂ドイツの金持ちたちは、とりわけその「魔性」に取り付かれやすかったのかも知れない。

 

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