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美術館と国家

以上のように概観してみると、美術品という「財」は、結局のところ、いずれは「国家」の所有に帰することになるのが、歴史の大きな流れなのではないかと思われてくる。

王侯貴族の所有物であったルネサンスやバロック期の絵画彫刻は、宮殿もろとも国民国家によって没収されてしまったし、貴族階級の没落後に誕生したドガやモネ、ルノワールらの印象派絵画や現代美術を集めたコレクションも、相続の問題とからんで個人のコレクターの手から次第に国家の管理下に置かれるようになっていく。そのお陰で「美術館」が設立され、庶民も高価な美術品を実際に鑑賞できる機会を得られたのだから、これは悪いことだとは一概に言えないのかも知れない。

しかし、意外なことは、美術品の大きな流れを検討すれば、一般的な通念とは逆に、国家の施策がいわゆる金持ちのためにあるのではないと思われることである。むしろ、富裕な人々ほど国や政治の犠牲者であるとさえ言える。

「誰もが金持ちになれる」ということが経済的民主主義であるという観点からすれば、このような財産の収奪は果たして正しいことだろうか。コレクターやその子孫が美術品の所有権を失うことなく、同時に一般庶民も芸術の恩恵に与れるようなシステムを考案するのは、さほど難しいことであるとは思われない。それなのに、努力の末に得られた財が、さしたる根拠もなく奪われてしまうのだとすれば、高価な美術品を集めようとするコレクターなどは次第に現れなくなり、ひいては芸術の衰退を招きかねないと恐れるのは考えすぎであろうか。

 

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