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美術コレクターとしてのロスチャイルド家

もちろん、ヨーロッパにも大富豪の美術コレクターはいた。その代表格がロスチャイルド家である。実は、ロスチャイルドの一族には美術収集家として知られている者が極めて多い。「近代ヨーロッパの美術収集家」とは、ほとんどすべてがロスチャイルドではないかと思えるほどである。

ところが、彼らがアメリカ人と異なるのは、「美術館を創らない」ことである。当方で調べた限り「ロスチャイルド美術館」なる大美術館は存在しないし、主要な美術館の中でロスチャイルドのコレクションを中核として発展したとされるものも見つからなかった。

ロスチャイルド家のコレクターは、あくまで「個人として」美術品を所蔵しているということなのだろうか。

 

 

「個人美術館」は個人経営ではない

ところで、「個人として」高価な美術品を所蔵するということは、そう生易しいことではない。きちんと管理しなければ作品は劣化が進むし、盗難の危険もある。コレクターである富豪は、部屋に飾ってひとり悦に入ったり来客に自慢したりしていると想像しがちだが、実際には、高価な美術品をスイスの銀行の倉庫に預けて管理させていたりしたということも多いらしい。従って、アメリカやイギリスなどでよく見られる「個人名を冠した美術館」も、決して個人経営なのではなく、「財団」として法人化されていたり、国や地方公共団体などがコレクターによる「遺贈」を公開・管理するために設立したものがほとんどである。

実は、このような個人名を冠した美術館の設立時期を調べてみると、その多くがコレクターの没後間もない頃であることが知られる。ということは、美術品の管理にかかる手間や費用もさることながら、そこには「相続税」の問題がからんでいようことは容易に想像が付くだろう。

 

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