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美術館をつくった人々とは?

 だが、「美術館をつくった人々」とは誰か。これは、実は単純な問題ではない。

 それというのも「美術館とは何か」ということ自体が、思うほどに簡単な問題ではないからだ。「美術館」とは「館」、すなわち建物のことだろうか。これが会社なら、今どき「会社とはオフィスの入っている建物のことだ」と思っている人は少数派だろうが、美術館は「美術作品の展示されている建物」のことだと言われてもさほど違和感はないかも知れない。また、会社が何よりも組織であるのと同様に、美術館も「組織」や「機構」であると言うこともできる。しかし、建物や組織だけは立派でも、展示・収蔵する美術作品を抜きにして「美術館」が成り立つか否かは、はなはだ疑問である。

 このように考えると、「美術館を作った人」とは、「建物を建てた/建てさせた人」であるかも知れないし、また、「組織を設立した人」である可能性もある。しかしながら、「作品を収集した人」の重要性を無視することはできないのである。

 

 

美術をめぐる政治と経済

実は、美術品という巨額の財の流通を生ぜしめる歴史と経済のダイナミズムを象徴する存在として、このコレクターこそが、美術館を単なる文化施設ではない、「政治」や「ビジネス」の点からも興味深いものとしているのである。

 このような観点から、ヨーロッパとアメリカの主な美術館について、その創設に大きな役割を果たした人、またはその収蔵作品のコレクターとして知られている人たちを調べて、簡単な表にしてみた(別表参照。ただし、ルーブル美術館、大英博物館など、極めて重要な博物館・美術館であってもコレクションを少数の個人の貢献に帰せられないものは、やむを得ず割愛してある)。コレクターの生没年なども可能な限り調査したので、収蔵作品の中核をなすコレクションがいつごろ収集されたのか、およその察しが付くようにした。

すると、興味深いことに、国によってはっきりと異なる傾向が見られたのだ。

すなわち、美術館の中核をなすコレクションは、その国の文化的・経済的な国力が最も盛んであった時代に、最も力のある階層の人々により形成されるという傾向が、明瞭に見てとれるのである。これは、考えてみれば当たり前のことなのだが、美術品とは「財」であるという厳然たる事実を、まざまざと見せ付けられた思いがした。

 

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