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誰が美術館を創ったか

 

 

「財」としての美術

 ヨーロッパで出版されているあるビジネス誌に、会社経営、投資、不動産などの記事と並んで、毎回、欧州各地で開催されている美術展の紹介が載っている。そのこと自体は取り立てて言うほどのことではないのかも知れないが、この雑誌には、美術以外の、音楽、映画や文学などに関する話題がほとんど取り上げられていないことを思えば、「美術」というものの持つ、他の芸術分野にはない特異な性格が浮かび上がるように思われる。つまり、一言で言えば、美術とは「財」であり、「富」であるということだ。

 美術の歴史は、見方を変えれば、「財」と「富」の歴史でもある。名画を生むということは、もともとさほど高価なものであるはずもない絵の具や板切れといった「原材料」から、とてつもなく大きな「付加価値」を創造するということである。さらに、音楽や文学などと異なり、美術は、「作品そのもの」が「財」であり、所有の対象となる。すなわち、ベートーベンの「第九」の自筆楽譜を所有しているからといって、ベートーベンの音楽作品の所有者であると言うことはできないが、ラファエロの「システィナの聖母」の所有者は、間違いなく美術作品を所有しているのだ。

 

 

「芸術の魔力」を示す数値

 ふだん美術館を訪れるとき、それがもともと誰の持ち物であって、どのような経緯によりそこに展示されるに至ったかなど、さして気に留めないのが普通であるかも知れない。ゴッホの「ひまわり」がいくらで売買された結果として日本の東郷青児美術館に展示されているなどということは、ゴッホ自身の与り知らぬことであり、作品にとって本質的な要素ではないと思われるからだ。けれども、作者自身の与り知らぬところで一人歩きし始めた芸術作品が見せたその価値の増殖、すなわち価格の高騰ぶりこそ、「芸術の魔力」を示す客観的な「数値」であるということは思い出されてよかろう。国境を越えた美術品の流転のさまからは、およそ経済や金融とは無縁であると思われがちな芸術の世界が、実は政治や経済と切っても切れない縁で結ばれているという事実が浮かび上がる。

その大まかな流れは、美術館をつくった人々の足跡を一瞥するだけで、おおよそ知ることができる。

 

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