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美術市場への影響

とりわけ、20世紀初頭における「モダン・アートの成立」は、絵画や彫刻が商品として流通するようになって以来、その市場を最も揺るがし、撹乱させた革命的な「趣味の変化」を伴った。

それがいかに「革命的」であったかを知るには、19世紀以来のゴッホ作品の価格を一瞥すれば、それで十分であろう。

すなわち、1890年に没したゴッホの絵は、生前には1点しか売れなかったと言われる。その価格は16ポンド(400フラン)だった。1700点あると言われる作品中1点しか売れなかったのだから、生前のゴッホは職業的な画家とはほとんどみなされていなかったと言ってもよい。ところが、それから半世紀も経ずしてゴッホは言わば神格化され、1920年代から30年代にはすでに4000ポンドの値が付いた。さらに没後100年余りを経た20世紀末には、前述の通りその絵は50億円、100億円という値で取引されるようになったのである。

 

 

20世紀における「趣味の変化」とモダンアート・コレクターの登場

これは何を意味するだろうか。

19世紀の人々がゴッホを買わなかったのは、単に彼らが19世紀的な「趣味」や「美意識」に基づいて判断を下し、美術品の購入を決めていたからである。それを現代の眼で「先見の明がなかった」と非難するのは簡単だ。しかし、19世紀的な基準からすれば、ゴッホが画家というよりは「絵を描く変人」であり、その作品が「気違いの絵」とみなされ、なけなしの銭をはたいて買うようなシロモノではないと思われたのもまた事実なのである。

ところが、ゴッホが死んでからその神格化が完成するまでのある時期に、革命的な「趣味の変化」が生じた。その新しい趣味は、時を経てやがて一般化し大衆化するに至る。その流れの中で、20世紀の初め頃には早くもゴッホ作品を精力的に収集する富裕なアート・コレクターが現れた。

その傾向は、基本的に現在も続いているのである。

 

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