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絵画の価格の根拠とは何か
さらに、「投資商品」としての絵画や彫刻には、株式や不動産にはない種類の不確実性があることも忘れてはならない。
それは、美術品の場合、買い手の側で、何故その値段なら買ってもいいと言えるのか、どうしても「合理的な説明がつかない」という点である。これもまた、「絵画・彫刻の値段の不可解さ」の大きな原因だ。
ここで「合理的な説明がつく」とは、価格が割高か割安かが、計算的な方法で説明できるという意味である。例えば、株式投資の場合、株式に配当があれば、配当利回りを計算することによって株価が割安か割高かを推定するという方法がある。配当が出ない株であっても、会社の純資産を発行済み株数で割って株価と比べるなど、方法はいくつかある。不動産の場合であれば、想定される賃貸料などに基づき、収益還元法などによってその価値を評価するということがあり得る。
もっとも、これらは決して絶対的な方法ではなく、だからこそ株式・不動産の取引にはリスクが伴うことは、今さら言うまでもない。
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ところが、美術品の取引の場合は、そんな方法さえありはしないのである(作品を美術館の特別展などに貸し出せば多少の賃貸収入はあるかも知れないが、絵画・彫刻作品の価格評価にとっては何の足しにもならないだろうし、投資家がそんなものを当て込んで美術品を購入するとはちょっと考えられない)。結局のところ、参考になるものがあるとすれば、同一作家の類似の作品(もしあれば)が最近取引されたときの価格くらいのものではないだろうか(注)。
「価格に合理的な説明がつかない」。その意味するところは、ある程度以上の高値で取引されている美術品の価格は、基本的に「すべてがバブル」であるということだ。
(注)世の中には美術投資アドバイザー、絵画投資アドバイザーなどという人がいて、「作品の保存状態」とか「署名の有無」などという「評価基準」を挙げるが、これは基準というよりは、単に「類似の作品と比較するための着眼点」を述べているに過ぎない。
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