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絵画の価格はどうして決まるか

 美術品投資は、「キャピタル・ゲイン」を得るという意味で、株式・不動産への投資と本質的に大きな違いはない。絵画その他の美術品の価格形成も本質的には他の商品と変わらないはずだ。それにもかかわらず、「絵の値段はどうして決まるか」という疑問がしばしば発せられるのは、おそらく画商の世界の閉鎖性が、不可解で謎めいた印象を与えているからだろう。まして、「美術年鑑」などの業界資料を見ると、聞いたこともないような画家の作品に法外な値段が付いているからなおさらだ。

しかし、投資商品に限らず、モノの価格が基本的に需給で決まることは、美術品であっても決して例外ではない。ある絵画を、例えば1000万円なら売りたいという者と、1000万円なら買いたいという者がいれば、そこで「1000万円」という値が付くというだけの話だ(実は、「美術年鑑」などに出ている「号いくら」という数字は、売り手側の単なる希望に過ぎず、取引の実態を表してはいないということである)。その意味で、芸術作品であっても何ら株式・不動産と変わるところはないのであって、当然、需給によって変動する。「株・不動産と異なり、美術品投資なら元本が確保される」などというのは、根拠のない幻想なのだ。

 

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