スイス銀行の貸し金庫について

外貨預金の呆れた実態

 

 

 

トラストとファウンデーション

 それは、海外における「信託(トラスト)」の設定と「財団(ファウンデーション)」の設立である。

 その詳細を述べることは別の機会に譲るが(*)、海外に「信託」や「財団」を設立して財産をその管理下に移すことにより、子弟を財産に依存させることなく、しかも堅固に支えることができるのである。

 また、有意義な活動を行なう団体などに寄付を行なう際にも、慈善・公益目的の「信託」や「財団」を通すことで、一度に全財産を寄付するのではなく、定期的に行なうようにすることができる。複数の団体の活動内容を評価しながら寄付の継続や打ち切りを決定することにより、常に、その時点で最も有意味な社会貢献を行なうのである。そうすれば、寄付先の突然の活動停止や低調などにより、せっかく寄付した財産が無駄になる可能性は少ない。

 例えば、子孫のために「信託」や「財団」を設立する際には、受益者となる子弟に対して、一定の年齢に達するまでは「信託」や「財団」からの収益を与えないとしたり、学業や事業などで一定以上の成果をあげた場合のみ収益を分配するなどの条件を付けることができる。これにより、子弟が相続財産に依存して自助努力しなくなるのを防ぐ効果が期待される。また、「信託」や「財団」の資産の利用を子女の教育など有用な目的に限るなど制限を設けることにより、家族や子孫による無意味な浪費を避けることも可能となる。

さらに、資産を利用する際には、利用可能な全額又は一定割合を社会貢献に用いるように定めてもよい。寄付先を受益者である子弟自身に選定させるなら、その社会貢献の意識を高めるという教育効果もあるだろう。

 日本ではかなり難しい面があるが、海外では「私益」と「公益」の混合目的を有する信託、財団の設立も比較的容易である。それが、「子孫のため」と「社会のため」という、一見相反するとも思える目的の実現を可能とするのである。

 

 

資産を永遠に生かす方法

 しかしながら、この制度の最大の利点が、財産の恒久的な保全であることは強調されていい。例えば、「リヒテンシュタイン家族財団」の資産を安全重視で投資運用し、受益者が利用したり寄付したりできる資金の上限を、「前年の運用益の30パーセントまで」のように定めるなら、基本財産は長期的に増え続けるだろう。このようなシステムを採用することで、財産は、まさに、子々孫々、一族を支えるとともに、社会にも貢献できる資金として「永遠に生かされる」のである。

 これこそ、「ノブレス・オブリージュ(noblesse oblige)」の伝統に裏打ちされた、ヨーロッパの知恵であると言える。

 「信託」や「財団」の設立やその資産の運用は、スイスのプライベートバンクのお家芸であると言ってもいい(**)。残念ながら、日本では、個人が資産保全目的の信託を設定するのは特殊な場合に限られ、また純粋な公益目的以外の財団を設立することはほとんど不可能であるばかりか、やっとの思いで設立しても官僚の天下りに甘んじなければならないこともある。今日の日本に一人の「本多静六」も出現しない所以と言えようか。

 だが、グローバル化の進んだ今日では、人格高邁なる富豪がその志を達するために、日本からスイスを訪れないとも限らない。日本国内では困難な「信託」や「財団」の設立も、スイスの金融機関を通じれば容易に可能となるからだ。これにより、自身や子孫の繁栄をはかりつつ、同時に社会に貢献することができるのである。

この国における「ノブレス・オブリージュ(noblesse oblige、高貴なる者が負う義務)」の伝統は、そこから始まるのかも知れない。

 

  (*) 海外の信託・財団の詳細については、M&Zビジネス翻訳センターのサイトを参照して下さい。

  (**) スイスのプライベートバンクを無料でご紹介しています。詳しくは、FAQをご覧になるか、又はお問い合わせ下さい(tel: 03-5330-7059)

 

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